裏技ドットコム

仮設住宅より安いトレーラーハウスが普及しない裏事情

HOME > 社会問題 > 仮設住宅より安いトレーラーハウスが普及しない裏事情

近年の日本は、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、2018年の台風21号など、度重なる大災害に見舞われています。こうした災害時には、避難場所に仮設住宅が建設され、被災者の救済に役立てられます。しかし実は、災害時に仮設住宅を作るよりも「トレーラーハウス」を使う方が、圧倒的にメリットが多いです。

トレーラーハウスとは、車で牽引できる移動式の居住空間の事で、キャンピングカーに似た物体です。一般の住宅並の居住スペースを備えながら、家屋の下部にはタイヤが設置されており、どこでも運んでいける仕組みです。キャンピングカーは家と車が一体化しているのに対し、トレーラーハウスはあくまでも家部分だけで、移動は他の車で牽引する必要があります。

このトレーラーハウスには、数多くのメリットがあります。まずトレーラーハウスは「建物」ではなく車両扱いなので、固定資産税が発生しません。しかも車両という体裁でありながら、トレーラーハウス自体に車の機能は無いので、車検や自動車税も掛かりません。建築物と自動車の良い面だけを継承し、コストは最小限という便利な物体なのです。無論、水道や電気・ガスも引き込めます。

トレーラーハウスと仮設住宅の比較
  トレーラーハウス 仮設住宅
製造コスト 400万円 800万円
建設時間 運搬時間のみ 建設に時間が掛かる
防熱・防寒 断熱材10cm程度 断熱材が薄い
防音 二重窓・壁も防音仕様 二重窓だが壁が薄い
解体コスト 不要(移動運搬のみ) 約100万円

仮設住宅は隣の家と隣接しているため、生活音が丸聞こえになるという点がデメリットです。そのうえ断熱効果も不十分なので、夏は暑く冬は寒いという厳しい環境になっています。それに対し、トレーラーハウスは他の家と隣接しないうえ、窓が2重ガラスなので防音効果に優れています。そして10cm程度の断熱材が使用されているのに加え、冷暖房も完備されているので、夏や冬でも、仮設住宅より快適に生活できます。

建設費用についても、仮設住宅は平均800万円ほど掛かりますし、解体作業にも100万円程度が必要です。一方のトレーラーハウス、作成費用は400万円程度と安いですし、解体も不要なのでコスパが圧倒的に優れています。

合成の誤謬問題〜仮設住宅は政治的利権の温床

災害時に仮設住宅を作る場合、避難所での作業スペースが必要ですし、建設に時間も掛かりますし、建設できる場所も限られます。一方、トレーラーハウスはあらかじめ作っておけば災害時に運搬するだけで良いうえ、設置場所もかなり自由度が高く、柔軟な対応が可能になります。

平常時にはキャンプに貸し出すなどの再利用をしておけば、維持コストを賄う事もできます。実際アメリカでは、トレーラーハウスを事前に用意しておき、災害時には貨物列車に載せて運搬するといった対応がされています。

このように、トレーラーハウスはほとんどの点で仮設住宅を上回っていますが、日本では全く普及していません。熊本地震の際、タレントの清水国明氏が自身の所有するトレーラーハウスを被災地へ送った事が話題となりましたが、こうした民間の単発事例に留まっています。

日本でのトレーラーハウスの普及を妨げている理由は、仮設住宅の建設が、巨大な政治的利権と化している裏事情があるからです。災害時の仮設住宅建設は、ゼネコンにとっては特需です。本来、仮設住宅程度の建物で800万円ものコストは掛かりません。公共工事特有のボッタクリ価格なので、土建屋にとってはとても美味しいビジネスです。

ご存知のように、日本では土木建設業界は巨大な金が動く票田なので、族議員も数多いです。また国土交通省の官僚は、より巨額の予算でゼネコンに餌を与えることで、見返りに大量の天下りを得ています。より低コストなトレーラーハウスが普及することは、国民目線や国家財政からは望ましいことですが、族議員や官僚どもにとっては利権の縮小となる大問題であり、絶対に避けたい不都合な真実なのです。

日本で安いトレーラーハウスが普及しない裏事情まとめ
・仮設住宅よりも防音や断熱に優れ、コスパが良い
・移動させるだけなので、災害時に柔軟で素早い対応が可能
・仮設住宅の建設は巨大な政治的利権なので、普及しない

経済学では、マクロ(国家全体など大局的な視点)で最適な事と、ミクロ(個人レベルの小さな視点)でベストな事が、完全に相反して矛盾することを「合成の誤謬(ごうせいのごびゅう)」と言います。仮設住宅の件は典型的な合成の誤謬で、国家としては安いトレーラーハウスを使うべきだが、族議員や官僚どもは真逆です。しかも利権に預かる奴らの方が少数派なのに、意志決定権を持っているため、無駄金を垂れ流すという残念な状況が続いているのです。

※当ページへのリンクはご自由にどうぞ。但し画像・文章の転記や複製は禁止です。引用される際は必ず該当ページへリンクして下さい。
Copyright (C) 2017 https://u-waza.com All Rights Reserved.