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スポーツやギャンブルに「流れ」が無い事の証明

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野球やサッカーなどのテレビ中継では、解説者がしばしば「流れが良い(悪い)」と発言をします。片方のチームが一方的に得点を重ねたり、それまで劣勢だったのが急に優勢になったり、等の場面では、人は「試合の流れがある」と感じてしまいます。しかしこれは、偶然にそうなっただけであり、実際にはスポーツに「流れ」なんてものは存在せず、オカルトに過ぎません。人間の思い込みは大抵は偏るので、流れのようなものを過大評価する傾向があるのです。

スポーツにおける流れを否定する証明として「ホットハンドの誤謬(ごびゅう)」という理論があります。例えばバスケットボールでは、ある選手が一度シュートを決めると、その後も連続してシュートが入りだすといった事がよく起こります。好調な選手にボールが渡ると観客も熱狂する事から、こうした選手はホットハンドと称され、調子が上向いている(流れが来ている)と思われがちです。

しかし、コーネル大学のギロヴィッチ教授がNBA選手の全てのシュートを分析したところ、直前の1〜3回のシュートに成功している選手の、次のシュートの成功率は別に高くならない(むしろ低い)という結果が出たのです。

出典;「図解雑学 行動経済学(ナツメ社)」
出所;トーマス・ギロヴィッチ著「人間この信じやすきもの-迷信・誤信はどうして生まれるか」、東洋経済新報社「野球人の錯覚」

バスケットボールでは、試合中のシュート成功率(フリースローを除くフィールドゴール)は、一流の選手でも50%程度しかありません。とはいえ、50%の確率が5回連続で起きる可能性は2分の1×5回=32分の1(約3%)であり、決して低すぎる割合ではありません。

1試合では両チーム併せて100本前後のシュートが打たれるので、確率的に見れば、試合中に4〜5本連続でシュートを決める選手が何人か出るのが当たり前なのです。試合の終盤でこうした確率の偏りが発生した場合、その印象は強く残りますし、一流選手ほど余計にそう見えます。ゆえに、スポーツでは流れがあると感じる人が多いのだと考えられるのです。

※マイケル・ジョーダンやレジー・ミラーのように、終盤に劇的なシュートを決める選手は過大評価されがちです。彼らは劇的勝利を呼んだ数と同じ位、自らのシュート失敗で敗戦しています。

同様の流れを否定するデータとして、名古屋大学大学院で分析された野球の実験があります。データは、自軍が攻撃の場面で、バントや盗塁の失敗をした回から3イニングの得点や失点の確率を調査したものです。この調査では、次の守りでの失点確率は下がり、次のイニングの得点確率も大きく落ち込んでいないという結果が出ています。つまり、ミスが出ても次の攻撃や守備にはあまり影響がないので、野球でもやはり「流れなど無い」と証明できた訳です。  

ギャンブルの流れも単なるオカルト

人間は心理的に、確率を正確に捉えられない傾向があります。例えば、コインを投げて4回連続で裏が出る確率は約6.3%です。このような場合「次はそろそろ表が出る頃だ」と思うか、逆に「もう裏が出るだろう」と思うか、どちらかの人が多いです。しかし実際には、5回目の表と裏の出る確率はどちらも50%で、何も変わりません。

たとえ10回、20回連続で裏が出たとしても、次にまた裏が出る確率は50%です。理由は、それまでの結果がどうであろうと、次のコイントスには何の影響も及ぼさないからです。このように、以前の結果が次の結果に全く影響を与えない事象を独立試行と呼びます。

ギャンブルの抽選も、この独立試行なので、やはり流れなど存在しません。パチンコで大当たりが続いたり、麻雀で都合の良い牌ばかりを引いている時、多くの人は「今日はツイている」とか「流れが来ている」と思い込みがちです。

しかし、いくら連チャンが続いてもそれは単なる偶然に過ぎず、次の勝負で早く当たりを引けるかどうかの試行には、何の影響も及ぼしません。パチンコで一日中当たり続けたり、麻雀で永久に上がり続ける人など居ない事が、それを証明しています。

麻雀プロの中には「目に見えない流れ」を重視する有名人が沢山いて、文筆家としても名を上げた阿佐田哲也氏や「亜空間ポン」の迷言で有名な安藤満氏などが代表です。しかし近年では、ネットの発達と確率論の浸透、何よりネット麻雀の圧倒的なビッグデータの検証により、流れなど無い事が証明されています。若い人の中には、流れを言うプロを「オカルトだ」と笑い飛ばす風潮すらあります。

スポーツやギャンブルに「流れ」が無い事の証明まとめ
・スポーツの「流れ」は人間の錯覚、たまたま確率が偏っただけ
・ホットハンドの誤謬のように、流れがない事を証明する統計もある
・ギャンブルも基本的に同様だが、理由があるケースは例外

無論、流れの全てを確率論だけで論破できない「例外」もあります。競馬で万馬券ばかりが出ている日に「今日は荒れる日だ」という流れのようなものが語られますが、これには理由があるケースも存在します。例えば、良馬場発表でも(前日の雨などで)重馬場に近い状態であれば、前残りになりやすい、適正の無い本命馬が凡走しやすい、などの影響が出ますが、それに気付かず馬券を買う客が多いことによって、万馬券が増える日もあるのです。

競馬は、パチンコや麻雀のような完全確率の独立試行(運のゲーム)では無いので、結果が偏ることに理由があるケースも出てくるのです。よって、レース結果が荒れているのが、単なる確率の偏りなのか?何か明確な理由があっての荒れ模様なのか?判別せねば正しい検証とは言えません。同様に、スポーツなど他の分野でも、結果の偏りに理由が無い事を明確にせねば、単にオカルトだと断ずる事ができない点は、お断りしておきます。

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