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認知症による親の財産凍結を防ぐ裏技

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厚生労働省の推計によると、日本の2012年時点の認知症患者数は462万人(高齢者の7人に1人)でしたが、2025年にはその1.5倍の700万人(5人に1人)まで増加すると見込まれています。高齢化社会の進む日本において、認知症は身近な病気になっていますが、実は親が認知症になった場合、親の財産を使ってお金を工面することが出来なくなることは、あまり知られていません。これはとても大きな問題なので、ぜひ対処法を覚えておくべきです。

例えば銀行は、認知症患者を意思決定能力がないと判断するため、その人の口座を一時凍結して財産を保護します。家族がお金を下ろしたくても不可能になるのです。また、親名義の財産(不動産や自動車など)も売却が出来なくなります。老人ホームに入居するにも、介護するにしても、費用の工面が極めて難しくなるのです。

このように財産凍結される事を防ぐための「家族信託」という裏技があります。家族信託とは、親の財産や不動産などを信頼出来る家族(主に子供)に預けて名義変更することで、管理や使い道などを家族が決めれるようになる、という方法です。銀行口座や不動産など名義のある財産は、子供の名義に変更されます。家族信託を行う場合の財産額に制限はなく、誰でも利用が可能になっています。

家族信託では、自分の財産を預ける「委託者」、財産を預かり管理する「受託者」、財産から発生する利益を受け取る「受益者」の3者を決めるところからスタートします。例えば父親が息子に財産を預け自身の老後の世話を頼む場合、依頼する父親が委託者、管理を引き受ける息子が受託者、そして利益を得る受益者も父親となります。このように、管理する人だけを家族に移しておく事で、財産凍結を防げるのです。

家族信託の利用には、信託契約書の作成をする手続きが必要です。信託契約書は自分達で作る事も可能ですが、より確実性のある物にするために、弁護士や司法書士などに依頼して公正証書にしておく事が重要です。公正証書の日付や内容は公証人によって証明されるので、後に親族間で遺産トラブルなどが発生しにくくなります。

家族信託は遺言よりも優先されるが、節税には使えない

家族信託のメリットは、法律的に遺言よりも優先される仕組みな事です。例えば遺言で長男に財産の大部分を渡すと記してあっても、家族信託で次男と取り決めをしていれば、長男に財産が渡らない場合もあります。遺言の場合、遺言書が複数あると最も新しい日付の物だけが有効になりますが、家族信託は作成時期に関わらず、常に遺言より優先されると定められています。

また、家族信託は遺産相続にも活用できる、という更なる裏技もあります。本来、相続では遺留分という制度があり、法定相続人は一定額の財産を受け取る権利があります。しかし、家族信託は相続財産とは別の信託契約として扱われるため、遺留分の請求が出来なくなっています。仮に、家族信託で全財産を次男に渡すと決めていた場合、長男は法定相続人であるにも関わらず1円も貰えなくなるのです。

加えて、家族信託は世代を超えた継承も可能という特徴があります。これは「受益者連続型信託」と呼ばれており、受益者を1人目だけでなく、2人目、3人目と、子や孫の代まで指定しておくという方法です。最初の受益者を長男、2人目を長男の子供、3人目は次男の子供…といった具合です。遺言ではこうした継承の指定は出来ないので、この点でも家族信託にメリットがあると言えます。ただし、30年以上経過した時に発生した相続で受益者の継承は終了となるので、あまり長期的な指定は意味がありません。

注意すべきなのは、認知症と診断された後では、家族信託の契約は出来ないという点です。ゆえに「親がそろそろボケてきたかも?」と前兆を感じた場合は、速やかに家族信託の準備を進めておく事が重要になります。

そして、家族信託はあくまで委託者(親)の為の制度であり、子供が自分のために親のお金を使うことは御法度です。また親が亡くなって、その財産を子供が引き継ぐ場合には、相続税がかかります。つまり節税には使えないことには、注意が必要です。

認知症による親の財産凍結を防ぐ裏技まとめ
・親が認知症だと、銀行口座が凍結され不動産が売却できなくなる
・あらかじめ家族信託の契約を結んでおけば、この問題は防げる
・家族信託は遺言よりも優先され、遺産相続にも利用出来る
・但し、親が亡くなれば相続税がかかる(節税には使えない)

ちなみに、家族信託に似た仕組みとして「成年後見制度」があります(⇒認知症が心配な親の面倒を見てもらう裏技)。ですが、成年後見制度は本人の判断能力が衰える前には財産管理が出来ない、本人以外のためにお金は使えないなど色々と違う点もあります。また、手続きが家族信託よりも面倒というデメリットもあるため、総合面では家族信託の方が使い勝手が良い事が多いです。

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